2015年12月5日土曜日

神戸のファッション【神戸ファッション美術館に行く】 2015/11/22

 まず初めになぜ神戸にファション美術館なのか?その理由を知るために神戸におけるファッションの歴史を振り返ってみましょう。

神戸はなぜオシャレ?


 
 神戸といえば「おしゃれ」なファッションのまちというイメージが定着しています。
 それには3つ理由があるようです。まず神戸港開港以来、早くから異国文化が人々の暮らしに浸透していたこと。次に、ファッションをはじめとした豊かな豊かな生活文化が生まれたこと。そして、そういった環境をうまく産業化していった神戸のアパレル産業の存在です。


ハイカラさんが闊歩したまち



 整然とした街並み、そしてそのところどころにあるレトロなビルがアクセントとなって、ロマンチック雰囲気が漂う旧居留地。異国情緒やモダンやおしゃれといった神戸イメージはこのエリアが発祥です。実は神戸ファッションもそうなんです。1870年、イギリス人カベルデュが30番館でテイラーを開いたのがその始まり。1876年には婦人服洋装店も誕生しました。当時、諸外国の商売や新しい技術を学ぼうと多くの日本人が居留地に集まったそうですが、洋服職人たちも居留地で技を覚えて神戸に店を開いていったそうです。
 そういった先端のファッションを愛でたのが、阪神間(大阪と神戸の間)に住む中産階級の婦人たち。奥さまたちは経済的な豊かさと自由な時間を持ち、習い事やスポーツ観劇などの遊びを楽しんだそうです。和装から洋装への過渡期である1930年代には、この地から新しいファッションの担い手が生まれました。1933年には芦屋で日本初のファッション雑誌が誕生し、欧米で服装デザインを学んだファッションデザイナー田中千代が活躍しました。


ニュートラと呼ばれた神戸ファッション



  そして1970年代、高度成長を遂げ、庶民が豊かさを享受できるようになった時代、神戸のアパレルメーカーが作っていた若い女性向けのファッションがファッション雑誌で「ニュートラ」と呼ばれ注目されるようになりました。ニュートラとはニュートラッド、上品で保守的なお嬢様スタイルのことを意味します。神戸のアパレル企業は、神戸開港以来、神戸に根付いていった異国情緒あるれるおしゃれなライフスタイルを背景に「エレガンス」で「上品」なファッションを全国に発信していきました。

 そして、神戸とファッションの深いつながりの中から誕生した日本で唯一のファッションにかかわる振興の拠点として1997年に誕生したのが、神戸ファッション美術館です。


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 神戸ファッション美術館 

〒658-0032 神戸市東灘区向洋町中2-9-1
TEL 078-858-0050

  神戸ファッション美術館は、ファッションをテーマにした日本初の美術館です。兵庫県神戸市東灘区にある海上都市「六甲アイランド」に1997年4月に開館しました。ファッション都市「神戸」のシンボルとして、ファッションに関する産業及び文化の振興を図ることを目的に人材育成、情報発信、集客等の機能を合わせ持つ施設として親しまれています。ミュージアム、リソースセンター、イベントスペースという3部門を有する神戸ファッション美術館は、ファッションを多角的に体感することができる美術館です。ファッションに関することを様々な視点からとらえたユニークな展示を行っている。また、ファッション産業の人材育成を目的として「素材」「色彩」「装飾」「デザイン」「社会」「歴史」「メディア」の7つのカテゴリーで服飾講座を開講しています。


今回私は、JR電車で神戸ファッション美術館に行ってきました。電車でご利用の場合に、JR住吉駅に行きそれから六甲ライナーに乗り換えアイランドセンター駅に着くと、もう見えてきます。東出口から南東へ行くと、UFOのようなユニークなファッション美術館がすぐ目の前にあります。

特別展示日本衣装絵巻卑弥呼から篤姫の時代までの日本衣装


 私が行った日には、特別展示日本衣装絵巻卑弥呼から篤姫の時代までの日本衣装が開催されていました
 春の京都を彩った「染織祭」に蘇った、古墳時代から江戸時代の復元女性衣装、8 時代 100 領が展示されていました。「染織祭」とは昭和初期、経済不況の中、京都の基幹産業だった染織業の振興をはかるべく1931年(昭和 6)から 20 年間、執り行われた祭です。 会場には和装の鑑賞者もいて、なにかタイムスリップしたような気分でした。
 昔の日本衣装が、とてもきれいに保管されていて細かい模様に、ずっと見とれていました。

わたせせいぞうの世界展(ゆかりの美術館)


 ゆかりの美術館では、「わたせせいぞう世界展」をやっていました。
 「国際的」「ハイカラ」「モダン」「明るく開放的」といったさまざまな神戸の魅力に惹かれ、多くの芸術家たちが、神戸を拠点に活躍し、神戸の芸術文化の発展を担うとともに、日本の美術界にも大きな足跡を残しています。そういった芸術家を紹介しているのが「神戸ゆかりの美術館」。神戸ファッション美術館内に開設されています。
 わたせせいぞうは、日本の漫画家、教授、イラストレーターとして活躍している画家です。この展覧会ではデビュー作から新作まで、代表作のほか、イラスト原画や原稿など約130点を紹介されていました。
 一番印象に残った作品は、神戸・北野の異人館を訪れたカップルをテーマにした《IN KOBE~風見鶏舞う空~》という作品です。異人館の雰囲気とわたせさんの独特な色彩やイラストがカップルの甘酸っぱい愛を感じました。人の目線や背景の遠近法などが風景の自然な空気感などが伝わってきます。
 すべての作品一つひとつにわたせさんの思いが詰まっていて釘づけになっていました。

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ファッションを実際に展示物として見る機会は、初めてだったので新鮮でした。ファッションは、住んでいる地域やその土地の季節や環境によって全然違う特徴があり、見ているだけで楽しめました。今回は、展示品の撮影は、できませんでしたが是非皆さんに自分の目でファッションのすばらしさを感じてもらえばうれしいです!ファッションが好きなあなたにおすすめです


<参考>
神戸地域学 ーこうべの魅力再発見ー 川越栄子 編著 大学教育出版
阪神沿線 まちと文化の110年 阪神沿線の文化110年展実行委員会・編 神戸新聞総合出版センター

取材:高松美空