公園に溶け込み馴染む歴史
まず初めに向かったのは、JR三ノ宮駅から南に進むと見える「東遊園地」です。一見すると普通の公園ですが、ここにも神戸の歴史を示すものがありました。
一見すると公園の構造物のようですが、実は阪神・淡路大震災の慰霊と復興のモニュメントです。中央の入り口から地下に入ると、壁に被災者の名がずらっと刻まれています。かつての災害を忘れず、後世に残そうとする思いが感じ取れました。
公園の片隅には、当時の地震によってずれた堀がそのまま残されていました。
69cmもずれているこの状態が、地震の被害の大きさを物語っています。
旧居留地が居留地だったころからある建築
次に向かったのは、「旧居留地十五番館」です。186年の兵庫開港以来、この地には次々と外国人用の建物が置かれました。そのなかで最も古い建物だったのがこの十五番館です。明治の面影を残したまま保たれ続けていましたが、阪神・淡路大震災により全壊してしまいました。関係者の努力により復元したそうです。外国の建物でありながら違和感なく街に混じる姿は、神戸という街の歩んできた歴史によるものだと感じました。イギリスからやってきた傑作
次に向かったのは、「神戸市立博物館」です。神戸の歴史を知るにはうってつけの場所ということで行きましたが、この日「大英博物館展」という催しが開かれていました。イギリスの大英博物館から来た100の展示物を通して世界の歴史を知ろうという試みです。古代エジプトの棺やガンダーラの仏像、ゴアのキリスト像など、世界中の様々な年代の傑作が集められています。神戸の博物館に、海外から展示物が送られていて、神戸が他国とかかわりが強いことがわかります。
常設展示のコーナーには、神戸と外国の交流に焦点を当てた展示がありました。まず神戸外国人居留地の模型があり、それまでの日本風の建物から西洋風の建物移り変わる様子が表現されていました。他にも洋家具、印刷、造船、マッチなど、当時の最新産業の展示が所狭しと並べられていました。実際に使われていたり、作られたりした道具を見ることで、幕末から明治にかけての時代の激変具合が見て取れました。
よみがえる神戸
またここには、震災によって崩れた波止場の一部もそのままの形で残されていて、地震の被害の凄まじさを伝えようとしています。
終わりに
神戸の街には、賑わった店々や歴史ある建物があるだけでなく、各地に震災の傷跡が隠されていました。これだけ目立たなくなっているのは、人々の努力と神戸に対する郷土愛によるものだと感じました。参考文献
ペンハウス(2010)『兵庫歴史探訪ウォーキング』メイツ出版
取材:高橋祐貴