1世帯当たりのパン消費量が全国トップを誇る「パンの街」神戸。そんな舌の肥えた神戸のひとたちの厳しい評価に鍛えられた神戸のパン屋さんだから、どこよりもおいしいのです。ということで今日は知るひとぞ知る神戸のおいしいパン屋さん巡り。
おいしいパン屋さんはいつもお客さんでいっぱい（DONQ 神戸そごう店）
神戸では、海を越えてやってきた外国人が伝えた西洋料理を食べられるお店が早くから営業されていました。和食といえばご飯が欠かせないように、洋食といえばパンが欠かせません。神戸にパン屋さんができたのは、なんと神戸港開港の翌年である1868年。1869年には居留地にベーカリーが2店舗開かれたそうです。時を経て他の地域であれば見たことも聞いたこともないフランスパンや本格的なドイツパンも神戸では当たり前だったといいます。
戦後、日本が復興を果たし成長していく中、神戸港から外国の豊かな食材が輸入されるようになり、ハイカラさんの神戸のひとたちは西洋料理とともに、パンや洋菓子を好みました。
神戸におけるパンの歴史はこれくらいにして、私が知らない神戸のパン屋さんを訪ねてみましょう。
神戸におけるパンの歴史はこれくらいにして、私が知らない神戸のパン屋さんを訪ねてみましょう。
パンと暮らし ca marche
神戸市中央区山本通り3-1-3
TEL 078-763-1111
アクセス 各線三宮駅から徒歩10分
定休日 火･水
元町駅で下車し、北に向かってゆっくりと歩くこと20分。イートインスペースのある、おしゃれな白い建物が見えてきました。お店の片側の壁一面に、約100種類のパンがずらーっと並んでいて、かわいい雑貨のレイアウトが素敵な内装となっていました。
写真手前のバーの向こう側にお店の方、手前側に私たち客が入り、あれこれ会話をしながらパンを選び、パンは全てお店の方がとって下さるという珍しい販売スタイルでした。
お店の方おすすめの「栗あんぱん」（税込 218円）を購入。
ちょうどお昼時だったので、外のイートインスペースで買ってすぐ食べる人なども多くいました。そこには、私の憧れの休日ランチの時間が流れていました。
イスズベーカリー 北野坂店
神戸市中央区中山手通1-8-18 三宮互陽ビル1F
TEL 078-391-3963
アクセス 各線三宮駅から徒歩5分
定休日 無休
近くに生田神社、そしてこの日は七五三ということもあり、所々で可愛らしい着物をきた子供に出会いました。途中迷子になり、下がっていたテンションを、着物姿の子供たちで癒しながら歩いていると、赤い屋根が印象的なイスズベーカリーに到着。全面ガラス張りなので、お店の中がよく見え、外の通りを歩いていた人たちも、いったん足を止めてパンをじっくりと見たりしていました。
店内に気になるポップを発見したので、お店の方に尋ねてみると、「あさイチ」という朝の情報番組で「トレロン」というパンが紹介されたそうです。フランス語のtorre（とても）とlong（長い）という意味から名づけられた「トレロン」は、その名の通りとても長くて、75cmもありました。
ピクニック気分で
この日は、天気も良く暖かかったので購入したパンを持って、近くにあった「山本通公園」へ。まずは「牛すじ煮込みカレーパン」。出来立ての時みたいにアツアツではなかったけれど、お肉がたくさん入っていてちょっと贅沢な気分になれました。もちろん、冷めていても美味しかったです。さっきはおかず系のパンだったので、次は「栗あんぱん」を食べることに。ちょうどいい甘さの栗あんが、ぎっしり詰まっていて、見た目は小さいけれどボリューム満点でした。最後は「鶏の柚子こしょうマヨフランス」。唇の裏側がちょっとヒリヒリするぐらいのゆず胡椒がクセになる、この日食べたパンの中で1番好きな味でした。
いつも駅の南側に行くことが多いので、今回は駅の北側にあるパン屋さんに行ってきました。パンが好きなので、色々なパンを見たり食べたりできて本当に楽しい1日でした。
パンの消費量が多い＝パンが大好きな神戸市民のニーズにこたえるために、神戸のパン屋さんは、常に美味しいパンを研究し作り続けているのです。これが、神戸のパンが美味しいと言われる理由ではないかと思いました。まだまだ神戸にはたくさんのパン屋さんがあります。皆さんも、お気に入りのパンを探す休日を過ごしてみてはいかがですか？
参考文献
『神戸美味しいパン生活』 編 街ポケット編集部
『パンの歴史』 著 ウィリアムルーベル
『パンの文化史』 著 舟田詠子
取材：寺田朱李
