神戸ゆかりの作家、陳舜臣さんのデビュー作、「枯草の根」の舞台となった海岸通を歩いてきました。
「枯草の根」 あらすじ
陶展文は、神戸海岸通にある料理店「桃源亭」の店主。ある日、シンガポールの大富豪が彼の事業を破滅から救った中国人の元銀行家を訪ね、神戸を訪れた。そしてその直後に一人の老高利貸しが殺された。事件の謎解明に陶展文が桃む「枯草の根」。倭寇の頭目・王直が隠したという秘宝をめぐる顛末「王直の財宝」。文庫初収録短編3作「縄シリーズ」。いずれも陶展文の推理が冴える新編集の傑作選。(「BOOK」データベースより)
「枯草の根」の世界に浸ったあとは、陳舜臣アジア文藝館に向かいました。
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陳舜臣アジア文藝館
陳さん直筆の書やゆかりの品などの散逸を防ぎ、国際交流の場にしようと、昨年5月に仮オープン。著作や蔵書など千冊以上のほか、自筆の原稿や愛用の仕事机などを展示しているが、今回さらに資料を増やして正式オープン。旧神戸税関メリケン波止場庁舎3階。
中に入ると、写真の陳さんが出迎えてくれます。3階まで階段で登ると、陳舜臣アジア文藝館です。館内に入ると、二人のスタッフの方がいます。
陳さんのことを紹介する10分くらいのビデオを見せてもらいました。そこから、スタッフの方に展示を一通り解説してもらい、最初に執筆活動をされていた書斎を再現した一角と談話コーナーがある部屋を見ました。実際に、陳さんが持っていた観音様(阪神大震災のときに指が欠けている)や、最後の原稿のレプリカなどがありました。
次は、陳さんの文学書・資料が置いてある三橙書室です。
ここには、とても大量の本があり、陳さんのファンならば絶対に嬉しい蔵書数だと思いました。同じタイトルの本でも、単行本と文庫本がどちらもあったりするのはすごいと思いました。また、ここに置いてある本は実際に読むことができるんです。
もう書店で手に入らない本なんかも置いてあるので読みたい本がある人は、来てみてください。
この陳舜臣アジア文藝館を訪れて、あらためて陳舜臣という作家のことをより詳しく知ることができたし、貴重なものもたくさんあってすごくいい時間を過ごせました。
陳舜臣アジア文藝館ホームページより
【陳舜臣】1924年2月神戸市に生まれる。国立大阪外国語学校(現国立大阪大学)を卒業。1961年「枯草の根」で江戸川乱歩賞を受賞し、作家デビュー。その後は、神戸を主舞台とした超短編推理小説を数多く書き人気を増す一方、中国歴史小説書き手として確固たる地位を築き上げた大長編「阿片戦争」を刊行。次々と名作を著し、受賞歴も数知れない。脳内出血で倒れた後もリハビリに励み、力作を発表し続け、常に人間として共に同時代を生きる大切さを示唆し続けた。2015年1月老衰で逝去。
参考資料
枯草の根 陳舜臣 著 (集英社文庫)
陳舜臣アジア文藝館パンフレット
取材 入江遥