2015年11月1日日曜日

 混沌の中の「美」 神戸ビエンナーレ@モトコー 2015/10/11

 神戸の街で2年に一度行われる芸術の祭典「神戸ビエンナーレ」。メリケンパーク、ハーバーランド、モトコー、東遊園地、兵庫県立美術館などを会場に開催されています。今回は元町高架下、通称「モトコー」の生け花未来展、野外展を見に行きました。展示された作品の中から3作品をピックアップしてお伝えします。

モトコーへ突入

JR神戸 線の高架下が商店街になっている

 作品が展示されているモトコーの正式名称は元町高架通商店街。戦後闇市が開かれていたそうです。当時、米軍の軍服を横流しして売っていたそうで、今でもミリタリーグッズなどを売るお店が残っています。ここは照明が少し暗く、通路が約2メートルと狭く、まさしく「シェンムー」の世界です。そんな混沌とした商店街の中に、生け花の展示スペースが! 混沌の中にさく一輪の花。本来馴染まないであろう場所に溶け込んでいる光景は、奇妙で面白いと思いました。

元町あたりはカジュアルな洋服屋さんとかがあって楽しい感じ

西へ行けば行くほど混沌レベルが上がっていく

いろんなお店が連なる中、ところどころに展示会場が


その1 廃材をリサイクルして作られた作品(草月流)


  庭を剪定する際に切り落とされた 植物の枝葉や木は通常ならばゴミですが、それを干して使っています。本来捨てられるはずの木に光が当たり、芸術として価値あるものに変わるというのが、ecoの精神を体現しているように感じました。


その2 竹取物語(未生流和行会)

 竹取物語のかぐや姫がモチーフとなっています。花やヴェールを用いて、かぐや姫の華やかさや儚さを表現しているように感じました。この作品は制作人数が24人と多く、小物の数々や、暗くした部屋での影の演出など、かなり手が込んでいます。華道を超えたフシギな世界。

その3 枯れ木による作品(未生流[庵家] 佐伯一甫)


 細く切られた枯れた木の皮を編み込み大きなオブジェになっていました。うねりを見せながら上昇し、頂点部には綿で出来た雲が!その姿はまるで、枯れ木を巻き込んで吹き荒れる竜巻のようでした。力強く雄々しい作品で、見る人も思わず息を飲んでしまいます。


見れば見るほど面白いモトコー。

 本町高架下には、中古品を並べる店、古本・古CDを大量に抱える店、マッサージ店、占い、骨董品、ジムなど、多種多様な店が230ほど軒を連ね、ちょっぴりスリリングな買い物が楽しめます。
 モトコーの空きスペースを使って行われた展示は芸術を市民と近づけようとしているようにに感じました。だれでも自由に見ることができたり、展示スペースのすぐ隣で普通のお店が開いて商売していたり、あえて小難しい解説を入れないようにしていたり、芸術を身近なものにして多くの人に触れてもらおうとする工夫が見て取れました。
 普段あまりこういったアート展を見る機会がないわたしですが、楽しめました。神戸ビエンナーレのモトコー会場、おすすめです。

取材 高橋祐貴 

参考

モトコー2番街(http://www.motoko2.com/)
高橋健次郎(2011)「ツッコミどころ満載!神戸・モトコー」『朝日新聞 夕刊』朝日新聞社、3ページ