2015年11月2日月曜日

神戸ビエンナーレ メリケンパーク会場に行ってきた!(前編) 2015/10/10

 メリケンパーク、ハーバーランド、モトコー、東遊園地、兵庫県立美術館などいろんなところで開催されている今年の神戸ビエンナーレ。港大好き人間Tが選んだのはやっぱしメリケンパーク!では行ってみましょう!

突然愛おしくなるモニュメントがお出迎え 

作品名:SHRINE Benoit Maubrey(ベノア・モウブレイ)1952年生まれ、アメリカ・ワシントンDC生まれ。
独ブランデンブルグ州移住後、非営利団体”Kunstpflug e,V.”を設立。90年からはバート・ベルツィヒ近郊に暮らす。

 入り口にあるスピーカーで作られた鳥居が!この作品はドイツの作家、ベノア・モウブレイのもの。このモニュメントは、日本人にとって神聖な存在である鳥居と、スピーカーシステムを組み合わせて、異文化、そして様々な人が出会う交差点として、作られました。

 この作品に使われるスピーカーは、全てが中古の物で、限られた資源と環境問題を喚起するためなのです。そしてこのモニュメント、スマートフォンのBluetooth機能を使って、鳥居全体からいつも聞いてる音楽を大音響で楽しめるというギミックが楽しい。カネではなくアイデアでびっくりさせる...現代アートってすばらしい!!
さて、メリケンパーク会場には5つのテントがあり、その中でいろんな作品が展示されています。屋外展示作品もあるけれど、まずは順番にテントを回っていきましょう。

5つのテントが設置され会場中央にはオブジェが展示されている


なんだこのねじりん棒は!
テント NO.1 海外招待作家展


 まず目に入ったのが、神戸の友好都市、天津(てんしん)市の作家、トウ・コクゲンさんの作品。そもそもここには「Noah`s garden」という作品が展示される予定でした。ですが、なにかトラブルがあったそうで、作品の現物を見ることはできませんでした。しかし、写真パネルや映像、神戸ビエンナーレの総合プロデューサーである華道家の吉田奉巳さんが創作した曼荼羅が展示されていました。これらの作品を見て、曼荼羅や映像などが合わさって、部屋全体がひとつの芸術表現のようにも思えました。

トウ・コクゲン 1957年、中国天津生まれ。
サウスダコタ大学教授、ドイツ・ハレ市ある芸術大学の客員教授。
中国、ドイツに渡りいくつかの個展やグループ展を開催。


 次に見た作品は、キム・ビョンテクさんの作品、Memories of plazaです。この作品は、光州事件をテーマにしています。キムさんは、「私の作品は歴史的事件を記録する道具として使用され、それらの象徴的な意味の証拠となっている。私にはこういった活動は美術と作者が負う責任だ」と述べています。こういった社会的な問題を美術作品として見るのは初めてで、今まで見てきたものとは異なった現実的な生々しさを持った作品でした。
キム・ビョンテク 作品名:Memories of plza
歴史における真実と誤解などを形式的なアート方法を用い集約するプロセスを経た作品を制作。


アートとして迫ってくる書道
テント NO.2 書道展・イスラエル書道家による作品展

 現代書壇を代表する作家や、兵庫県書作家協会の代表作家が、漢字、かな文字、篆刻、前衛の4分野で作品が展示されていました。その中で、神戸ビエンナーレのテーマである「suki」をモチーフにした書道なども展示されていました。

左右津 安輝子 作品名 SUKI

 続いては、中東・イスラエルで日本の文化や日本の美学に魅せられたアーティスト集団「書道-テルアビブ」による作品なども展示。海外の方が書く日本の書道は、字と言うよりも、一種のアートのようになっていて、とても斬新な作品だと感じました。

イスラエルの書家たちの作品

やるぜ、大学生!
テント NO.2 の続き 大学作品展
 次は、大学のゼミ研究室単位による作品展、職人の手により生み出された陶芸、染織、皮革などの日常生活に不可欠な道具、現代における芸術表現を追求する工芸作品の展示、障がい者の作品などが展示されていました。 大学のゼミや研究室単位による作品はなかなかのものでした。

Layer
大阪教育大学 教養学科芸術専攻美術 書道コースゼミ

 いろんなアーティストが手を変え品を変え私たち一般ピープルの固定概念をぐらぐらさせ、今までどうと言う事もなかったものが作品に変わったり、鑑賞者である私たちがなんらかのかたちで関わることで作品として成立したりと、どんどんとアタマがやわやわになっていくのがわかりました!ありがとう!神戸ビエンナーレ!!
 後半は山本くんが綴ります。

参考資料 神戸ビエンナーレ2015 公式ガイドブック 秋は神戸でアートの旅

取材 平良 賢一